しれっと


by taigayuri

2010国体

第65回国民体育大会冬季大会スケート競技会
2010年01月26日~30日
釧路市 春採アイスアリーナ




心に残ったこと
10位から1位


 数日後に長野での全中を控えた中学3年生、国体デビュー組
 少年男子岡山代表・田中(刑)君のショート・フリーともに圧倒的な強さ。とても洗練されていて、見ていて溜息が出そうだった。フリーのステップが凄く良かった。
 少年神奈川代表本田(宏)君と山口(香)さんの初々しさ。宏樹君は最初から最後までいまいち自分に納得がいってないような表情だったが、しっかりと役割を果たしていった。Good Luckのフリープログラムはシーズンを通して踏ん張りのきいた、「強い!」と思える良い演技だったなぁと走馬灯みたいに振り返る。香奈梨さんには恐らく今まででもっとも大きい規模の大会にして、ショートもフリーも堂々たる演技。昨年の国体での瀬藤(志)さんの存在感に似たインパクトがあった。アルツァフのショートのステップとスピンがとてもかっこよかった。彼女には大きな大会が似合っていると思う。
 群馬からは柳原(瑠偉)さんも緊張の面持ちで初出場。都道府県別練習では北海道代表選手達など大所帯のグループに放り込まれてしまって、平野さんと二人、周囲に飲み込まれないだけでも精一杯という感じだったが、くるみ割り人形のショートは見事なノーミスで24位に入り、笑顔でフリーに通過した。見ているこっちまで嬉しくなる初々しい笑顔が忘れられない。
 中学生代表の、借りてきた猫的佇まいも国体の風物詩。一方で誰よりも元気なのもやはり中学生だったり。大阪少年代表4人組の疲れを知らないハイテンションな姿にだいぶ癒してもらった。

 長野入賞
 野口君と中村(智)君のコンビは3年連続。今まで届きそうであと一歩届かなかった入賞。今年やっと6位に入賞で表彰式デビュー。この4年、年々狭くなっていった表彰式会場に思いを馳せてみる。今回は博一君のフリーがほぼパーフェクトで素晴らしかった。3T二回に2A三つ、スピンもちょっと乱れたフライングシット以外の二つがレベル4の評価。この日良かった福岡の二人に並ぶ好印象の演技でした。智君のカルメンはこれが見納めだったという事実。最後の長いステップが見応えあって好きだったし、もっと完成された物が見てみたかった寂しい気持ちもあるけど、彼をジュニア強化選手に押し上げてくれたプログラムだったと思えば、あの全日本ジュニアの時のカルメンが一つの完成形であったのかもしれない。思えばとんでもないアクシデントから始まって、短くも濃い付き合いだったねきっと。今回の3Loはちょっと惜しかった。

 福岡最強
 そして少年男子福岡代表はとにかく強かった。とくにフリー。フリーの滑走順は二人続いていて、最終グループ最初に滑った山田君は、3S+3Tが入って3F+2Tも3Lzも3Loも全部入ってトリプル5種類、完璧な演技!最後まで気迫が籠もってて、熱い気持ちが伝わってくる演技。凄かった。この日のMVPかなと思う。野添君が冒頭に3A二発!続く3Fの転倒が惜しかったけど、彼も最後まで集中を切らさず、勢いのある演技だった。二人連続で畳み掛けるような素晴らしい演技で、僅差で暫定1位2位に。この時の会場の温まり方は記憶に濃く残っている。チーム戦なんだなぁと感じた瞬間。総合では山田君2位、野添君3位で文句なしの団体優勝おめでとう。

 涙でボロボロ

   リンクサイドでは表情豊かにずっと先輩達を送ってきた鳥居君が。

 少年女子フリー最終グループ

   全日本ジュニア最終グループのようなメンバーの中の一人として引けをとらず光ちゃん

 北海道成年男子、柴田君の現役ラストと小田嶋君のガッツポーズ

   ガチで熱かったから

 ショートとフリーが揃った
 
   やっと!今シーズン常にどちらかのみパーフェクトだった服部君が。




 劇的な優勝
 この試合をもって現役引退となる成年女子東京都代表・萩原さんがSP2位・FS2位、個人で総合1位に輝いた。個人的には正直もう、そうなる気がして仕方なかった。ショートのPoetaも素晴らしい内容で、フリーの滑走順は24人目、最後。すべては整ってるなぁ…という風にしか思えなくて(簡単に言うのは失礼かもしれないけど)。いつもいつも、最後の最後にこれ以上ない集中力を発揮して、最高の演技をして引退していく選手を見ては、何故そんなに強いのかという疑問でいっぱいになるちっぽけな自分。初めて見たジュニアの時から、萩原さんの演技はいつだって最大級に丁寧だった。スピンもステップも踊りも、ジャンプの前もあとも、均整のとれた美しさが乱れることはほとんどなく、スケートに対する真摯な姿勢が伝わってくる選手だった。そして今シーズン、常にといっていいくらいほぼパーフェクトの演技ばかり見てきた。この前のインカレだって素晴らしい演技だった。絶対に強い選手だと思った。だからこそ今回彼女の優勝を確信してしまったのだけど、最後のフリー、マラゲーニャのパーフェクトな演技は、恐ろしい程の集中力と今まででも最高だと感じるくらいの美しさで、彼女の魅力を余すことなく表現し、演技の最後には余計なことなど一切忘れさせられてしまった。そして点数が発表されて、逆転で個人1位が分かった瞬間、会場が沸きかえった。鳥肌が立った。 もう、なんでなんだろう。何故こんなに強いんだろう。でもきっとこれが、選手本人が積み重ねてきた日々の答え。小さな自分には溜息しか出ない。2位に同じく東京の武田(奈)さんで、団体でも優勝。おめでとう!

 チャップリンが泣いた
 少年女子埼玉県代表の長谷川(奏)さんがSP7位・FS6位で個人総合5位。何気に初めての国体。キャラクター色の濃い、本人のカラーにぴったりハマった2つのプログラムを卒業した。ショートプログラムの黒猫のタンゴは先日のインターハイに続き気合の入った演技。片手を高く上げてのジャンプも決まった。フリープログラムのチャップリン、冒頭はスピードに乗り勢いよくジャンプが決まる。3Tの助走のワクワク感はたまらない。後半で少しジャンプの乱れがあったが、プログラムの始めから終わりまで、丁寧に、大切に心を込めて演技をしていた。中盤のスローパートで、衣装のスカートの裾を持ってジャッジの方にお辞儀をする振付の所では、ありがとうという声が聞こえてくるような気がして、こちらも感極まりそうになった。昨年の全日本ジュニアを始め、この2年間、思い出せばキリがないくらい、このプログラムでは素晴らしい演技を何回も見させてもらった。彼女の演じた黒猫とチャップリンは、本当にたくさんの人の心に残ってると思う。最後の今回は、選手本人のプログラムへの感謝の気持ちが伝わってくるような、胸を打つ演技だった。フィニッシュの直後、それまでの笑顔が泣き顔に変わった。本当にこのプログラムが大好きだったんだね。こんな風に別れを惜しむほどのプログラムに出会えることって、選手にとって凄く幸せなことかもしれないなぁと思った。印象の強い名プログラムから、次の新しいプログラムへのステップアップは大変な面もあるかと思うけれど、次はきっと更に素敵な作品を見せてくれることを楽しみにしています。

 ショータイム
 上で書いた奏さんのプログラムのように、やはり最高にハマっていたプログラムを脱ぎ捨て、今大会のショートで新たな作品を披露してくれたのが、成年男子神奈川県代表、4年振りの国体だった土生君。曲は"Jumpin' Jack"だと思います。多分。ノリのよいリズムに合わせて濃く激しく踊る姿は、一人別次元のエンターテインメントだった。前作の妖から魅惑的な陽へ。過去形になったからこの言葉を使えるが、前SPは間違いなく傑作であったと思う。新プログラムへの期待は個人的にも本当に大きかったけれど、あのプログラムを超えるのは容易じゃないと思ってた。それがステップアップどころの話じゃなく、一蹴りで雲の上まで突き抜けた、みたいな話ですよ。度肝抜かれましたよ。もう、これを一度見た人は二度と彼のことを忘れられなくなるって話ですよ。こんなインパクトとオリジナリティと強いアピール、他の誰にもこんな真似はできないと思うし、彼にしか許されない演技だろう。あの激しく素敵すぎるステップは一体何事ですか。足捌きも華麗で6分練習でも浮きまくり(良い意味で)。試合の場に於いてここまで演技で魅せることができるなんて。見ている方の心拍数は大変な事態ですよ。彼が何年も前、まだ俯きがちに滑っていた頃から、演技の端々から零れるように見え隠れしていた、他の選手と何か違う表現力と特別な存在感。今ではもう何がどうあろうとその魅力は隠しようのない所まで来ている。きっとこのプログラムをもっともっとたくさんの人の前で滑ってもらいたい。今回彼が魅せることに楽しんで取り組んでいるように見えたのも嬉しかった。自身の良さをよく理解しているんだなぁとも感じたし、優れたセルフプロデュース力で今後この表現がどこまで到達してしまうのか、楽しみを通り越して怖いくらい。こんなに長く書いてもコレという言葉に辿り着けない…とにかく凄いプログラムと演技だった。釧路に行ってよかった。 


それ以外に
 大上君のフリー。末永君のラスト。中村(未)さんのショート。少年男子栃木の二人。河野君のショート。望月さんのフリー。辻君のショート。

 
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by taigayuri | 2010-02-01 23:28 | フィギュアスケート